早春の落葉広葉樹林で、木々が葉を広げる前の明るい林床に紅紫色の花を咲かせる多年草です。春の短い期間に芽生え、開花、結実を進め、その後は地上部を枯らして地下で休眠する代表的なスプリング・エフェメラルです。
- よみ
かたくり
- 分類
ユリ目ユリ科カタクリ属(Erythronium japonicum)
- 概要
北海道から九州の山野に分布し、落葉広葉樹林の林床などに群生する多年草です。高さはおよそ10〜15cmで、早春に紅紫色の花を咲かせます。種子にはアリが好むエライオソームがあり、アリによって運ばれます。
- 見分け方
長い花柄の先に1つの花が斜め下向きにつき、6枚の紅紫色の花被片が大きく反り返ります。花の内側には濃紫色の模様が見られます。葉は長卵形で、淡緑色の地に紫褐色の斑紋が入ることが多く、開花する株では通常2枚の葉が見られます。
- 似ている種類
園芸で栽培されるキバナカタクリなど同属植物がありますが、花色や花の大きさが異なります。花がない時期は斑入りの葉だけで判断せず、生育環境と早春の花を合わせて確認します。
- 観察できる時期
主に3〜5月。地域や標高によって開花時期は前後し、木々の葉が茂る頃には地上部が枯れます。
- 観察できる環境
丘陵地から山地の落葉広葉樹林、雑木林の林床。春に日が差し、夏は木陰になる場所に生育します。
- 季節ごとの差異
春:葉を広げ、紅紫色の花を咲かせて結実する。
初夏:地上部が枯れ始め、地下で休眠に入る。
夏:地上部は見られず、地下部で休眠する。
秋:地上部は見られない。
冬:地下で越冬し、雪解け後の芽生えに備える。- 注意点
地域によって希少植物として保護され、自生地では採取が禁止・制限されている場合があります。花や葉、地下の鱗茎を採らず、群生地へ踏み込まずに観察します。鱗茎はかつて片栗粉の原料にされましたが、野生株を食用目的で採取しないでください。