2026.10.06

化石拾いしてみた|糸魚川・フォッサマグナミュージアム「化石の谷」

国内初となるラピスラズリの産出が確認され、『瑠璃の宝石』とのコラボ展示も行われている新潟県糸魚川市。石にまつわる話題が続くこの街で、フォッサマグナミュージアムの「化石の谷」を訪れ、子供と一緒に化石採集を体験してきた。

参考:フォッサマグナミュージアム「瑠璃の宝石展」

森に囲まれた化石の谷の全景
森に囲まれた化石の谷の全景

フォッサマグナとは

フォッサマグナは、ラテン語で「大きな溝」という意味。日本列島の中央部にある地質学的な地域を指し、その西縁が糸魚川-静岡構造線にあたる。地表に大きな谷が開いているわけではなく、古い地盤の間を、より新しい地層が厚く埋めている場所だ。

参考:フォッサマグナと日本列島

館内に掲げられた石のまち糸魚川の看板
館内に掲げられた石のまち糸魚川の看板

ミュージアムでは、そんな日本列島の成り立ちや、糸魚川を代表するヒスイなどについて学べる。今回のお目当ては、その敷地内にある屋外の化石採集体験場「化石の谷」だ。

約3億年前の海の生き物を探す

化石の谷に広がる大小の石灰岩
化石の谷に広がる大小の石灰岩

糸魚川の黒姫山などをつくる青海石灰岩には、約3億年前のサンゴ礁の海に暮らしていた生き物の化石が含まれている。サンゴやコケムシ、ウミユリなど、今も仲間が生きている動物の痕跡も見つかる。

参考:糸魚川の大地の歴史と化石

化石の谷は、そうした化石を探す体験ができる場所。たとえるなら、化石界の「管理釣り場」のようなものだと思う。自分で産地を探して山に入るところから始めなくても、まずは石を手に取り、模様を探すところから楽しめる。

もちろん、目立つ化石が必ず出てくるわけではない。それでも、初心者が化石探しの感覚をつかむには、入りやすい場所だと感じた。

割るだけでなく、表面もよく見る

軍手を着けて割った石を観察する様子とハンマー
軍手を着けて割った石を観察する様子とハンマー

ハンマーで石を割り、現れた断面を調べていく。ただ、化石は石を割らないと見えないわけではない。すでに表面に模様が現れていることもあるので、拾った石を裏返したり、角度を変えたりして眺めるのも面白い。

石を割ると破片が飛ぶため、ゴーグルと滑り止め付きの軍手を使い、周囲との距離にも気をつけたい。

点々とした模様はコケムシ?

コケムシの化石と思われる点状の模様がある石灰岩
コケムシの化石と思われる点状の模様がある石灰岩

石の中央付近に、細かな点が並ぶような模様が見える。これはコケムシの化石ではないかと思っている。

コケムシは、名前に「コケ」とつくけれど植物ではなく、小さな個体がつながって群体をつくる水生動物。岩や貝殻などに付着して暮らす仲間が、現在の海にもいる。

参考:北海道大学「コケムシ」

石灰岩の表面に見えるコケムシの化石と思われる細かな模様
石灰岩の表面に見えるコケムシの化石と思われる細かな模様

今回のような点々の集まりは、石の中の模様として目に留まりやすかった。ただし、これらの標本は種類を確定できているわけではないので、ここでは「コケムシと思われるもの」として記録しておく。

白い円はウミユリの茎?

ウミユリの茎の断面と思われる白い円形部分がある石灰岩
ウミユリの茎の断面と思われる白い円形部分がある石灰岩

こちらは、白い円のような部分がウミユリの茎の断面ではないかと思ったもの。横から見ると、細かなひだが重なるような構造も見られた。

ウミユリも植物ではなく、ウニやヒトデと同じ棘皮動物の仲間。茎の部分には小さな骨格が連なっており、化石では、その一部がばらばらになった状態で見つかることが多い。

参考:和歌山県立自然博物館「石灰岩に含まれている化石」

この石についても同定は暫定だけれど、白い丸や細かな筋が、生き物の体の一部かもしれないと思うと、ただの石とは違って見えてくる。

子供と一緒に、太古の海に思いをはせる

約3億年前と言われても、途方もなさすぎて実感はわかない。それでも、その頃の生き物の痕跡かもしれないものを自分の手で拾い上げると、遠い過去が少しだけ身近になる。

大きくて立派な化石でなくても、石の中に小さな模様を見つけるだけで楽しい。子供と一緒に石を眺めながら、太古の海に思いをはせる。化石採集の入り口として、楽しい体験だった。

フォッサマグナミュージアム・化石の谷の利用案内

以下は2026年9月30日に確認した公式案内。訪問前には最新の営業状況を確認しておきたい。

所在地 新潟県糸魚川市一ノ宮1313、美山公園内
ミュージアム 9:00~17:00、入館は16:30まで
入館料 大人700円、小中高校生300円、未就学児無料
団体料金 20人以上で大人600円、小中高校生200円
入館料免除 身体障害者手帳・療育手帳・精神障害者保健福祉手帳の提示により、本人と介護者1人の入館料を免除
化石の谷 1人300円、1回75分。採集しない同伴者も有料。ミュージアム入館料とは別
対象 満4歳以上。小学生以下は保護者も一緒に利用
時間枠 9:15~10:30/10:45~12:00/13:15~14:30/14:45~16:00。受付終了15:00
受付 館内で当日先着順。電話などでの事前予約不可
道具・服装 ハンマー・ゴーグル貸出込み。滑り止め付き軍手必須。サンダルなど肌の露出する履物は不可
持ち帰り 1人につき化石を含む石灰岩3個と、別に方解石1個まで。各、大人の握りこぶし程度まで
休止 化石の谷は雨天などの悪天候時と冬期に休止。臨時休止にも注意

滑り止め付き軍手は、現地で大人用・子供用ともに1双100円で販売されている。持参することも可能。子供用でも小さな子にはサイズが合わないことがあるので、手に合う軍手を用意していくほうがいい。持ち帰る石を包む新聞紙や袋もあると便利だ。

ミュージアムのモンベルクラブ会員優待は終了していた。公式案内では、JAF会員優待とイオン優待も終了している。以前利用したことがある人は注意したい。

参考:施設案内・化石の谷・入館料割引の終了について

石の世界をもっと楽しむ本

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地形や地質の背景も知りたくなったら、藤岡換太郎さんの『フォッサマグナ 日本列島を分断する巨大地溝の正体』。

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ミュージアムのコラボ展示から興味を持った人には、渋谷圭一郎さんの漫画『瑠璃の宝石』も。

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